社長のごあいさつ
本日、2024年9月期の決算発表を行いました。
「2024年9月期決算短信」に記載の通り、当連結会計年度における世界経済は、欧米における利上げ累積効果によるインフレ鎮静化が進行しつつ一方、ウクライナやイスラエル等での紛争は終結の目途がたたず、景気後退のリスクがある程度あるものの、総じて堅調な状況にあるとみられます。中国における不動産部門及び消費の低迷や、米国の対中国政策の影響を受け、景気の早期再浮揚には不透明感が伴うものと認識しております。
高級二輪乗車用ヘルメット市場については、上記の経済状況のなか、コロナ禍で高まった二輪乗用車ブームの減速に天候不順なども加わり需要が減退した一方、生産体制や国際物流の改善により製品が潤沢に供給された結果、第2四半期までは流通段階で在庫過多の状況にありました。しかしながら、代理店の発注調整により、足元では欧州、中国では過剰流通在庫の消化が進んでおります。中国においては、第2四半期までは流通における過剰在庫の影響を受け、今期投入した新規格製品に依存する厳しい状況でしたが、ライダーシーズンが始まる春先からは小売店舗への客足も少しずつ戻るなど少なくとも短期的には需要回復の兆しが見えつつある状況にあります。
当連結会計年度における日本及び海外を合わせた販売数量は、前年度比8.4%減となりました。欧州市場の販売数量は、欧州子会社の過剰在庫の影響で新規生産量は減少傾向となりましたが、主力モデル投入による新製品効果もあり、販売数量は前年度比7.8%減にとどまりました。北米市場の販売数量は、同国の景気が比較的底堅く推移しているうえ、同市場で人気のモデルをプロモーションして増量した結果、前年度比34.7%増となりました。アジア市場の販売数量は、中国以外のアジア市場は堅調だったものの、中国市場において上記の状況下で前年度比32.5%減となったため、アジア市場全体では前年度比28.8%減となりました。日本市場の販売数量は、ポストコロナにおいても比較的堅調な需要が続いておりましたが、流通在庫が若干過剰気味になっていることから前年度比0.4%減となりました。
当連結会計年度の業績につきましては、販売数量こそ前年度比8.4%減少しましたが、新モデル投入効果、前連結会計年度における値上げと円安効果により単価が大きく上昇した結果、売上高は35,790,722千円と前年度比2,173,997千円(6.5%)の増収となりました。既述の単価上昇は利益増にも貢献し、営業利益は10,330,163千円と前年度比504,412千円(5.1%)の増益となりました。経常利益は10,502,792千円と前年度比644,635千円(6.5%)の増益、税金等調整前当期純利益は10,473,778千円と前年度比614,608千円(6.2%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は7,377,548千円と前年度比308,871千円(4.4%)の増益となりました。
今後の世界経済は、かつてのような力強い成長がみられず、ウクライナやイスラエル等での紛争による混乱は終結の目途がたたないことが精神的な圧迫となっており、予断を許さない状況ではありますが、一方で、全般的にインフレ鎮静化が進行しつつある中、楽観ムードも出始め、総じて堅調な状況にあるとみられます。ただし地域別には濃淡があり、北米は比較的堅調、欧州や日本の成長率は米国に劣後するものの現状維持、一方で中国は、不動産部門及び消費の低迷や、米国の対中国政策の影響を受け低迷、景気の早期再浮揚には暫く時間がかかるものと認識しております。
次期の高級二輪乗車用ヘルメット市場は、上記の経済状況のなか、コロナ禍で高まった二輪乗用車ブームの減速が基調としては継続しており、前期における、市場の過剰気味の流通在庫調整局面は一服したものの、今後急速な需要増を見通すことは難しい状況にあります。欧州市場は、当連結会計年度のような主力モデルのモデルチェンジが無く、マイナーモデルのモデルチェンジにとどまることから、当連結会計年度比微減となる見通しです。北米市場は、景気が相対的に堅調に推移しており、又、代理店も過度な在庫過多の状況にはないため、当社製品も前連結会計年度とほぼ同等の水準で推移すると予測しています。アジア市場は、主力の中国市場において、当連結会計年度前半の最悪期は脱したものの、景況感の不透明感が継続していることから、当連結会計年度比微増を予測しております。日本市場は、流通在庫が若干過剰であり、その調整が必要と認識しており、前連結会計年度比1割程度の減少を想定しております。
このような状況のなか、2025年9月期(2024年10月1日から2025年9月30日まで)の連結業績の見通しにつきましては、売上高は33,920,000千円と当期比1,870,722千円(△5.2%)の減収、営業利益は8,770,000千円と当期比 1,560,163千円(△15.1%)の減益、経常利益は8,760,000千円と当期比1,742,792千円(△16.6%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益6,220,000千円と当期比1,157,548千円(△15.7%)の減益としております。為替レートにつきましては、通期平均で1ドル=145円、1ユーロ=160円を前提としております。
株主の皆様を始め、お客様並びにお取引先におかれましては、何卒より一層のご支援ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
2024年11月15日
株式会社 SHOEI 代表取締役社長
石田 健一郎